増減の中身

町丁別の人口は、なだらかに動いているのではなく階段状に増えています。増えた月を特定し、同じ月に世帯数がどう動いたかを見ると、 住宅が建ったのか、施設に人が入ったのかを分けられます。

住民基本台帳人口は、すでにピークを過ぎている

大村市は人口10万人到達のカウントダウンを公表しています。ところが住民基本台帳人口は2025年1月99,773人がこれまでの最大で、2026年7月99,208人(-565人)です。10万人まで792人のところで向きが変わっています。

傾きを測る期間1か月あたり10万人まで
直近12か月(2025年8月2026年7月-35.9傾きが0以下のため到達しない
直近36か月(2023年8月2026年7月+21.9約36か月後(3年0か月後)
直近60か月(2021年8月2026年7月+35.4約22か月後(1年10か月後)

直線外挿であり将来推計ではない。出生・死亡・移動の構造を見ていない。

9万9.5万10万2004200820122016202020242026
住民基本台帳人口(月末・全293か月)。平成24年7月の住基法改正で外国人が住基に入っているため、改正前後をひと続きの増減として読むことはできません。

増えた月の世帯数を見ると、正体が分かる

町丁ごとに「最も増えた12か月」を出し、その間に増えた人口を増えた世帯数で割りました。 住宅が建った町では市全体の平均(1世帯2.29人)に近い値になり、 施設に人が入った町では極端に大きくなります。前年同月比を使うのは、 転入が春に寄る季節性を消すためです。

町丁最も増えた12か月人口世帯増えた1世帯あたり読み取り
富の原1丁目2024年5月まで+263+1123.9人施設の疑い(世帯が増えずに人口が増えた)
植松3丁目2025年11月まで+377+1532.5人住宅(世帯も増えている)
黒丸町2019年7月まで+219+1032.1人住宅(世帯も増えている)
久原2丁目2019年5月まで+205+1111.8人住宅(世帯も増えている)
鬼橋町2024年8月まで+178+852.1人住宅(世帯も増えている)
富の原2丁目2018年4月まで+171+802.1人住宅(世帯も増えている)
宮小路3丁目2018年2月まで+165+523.2人住宅(世帯も増えている)
水主町1丁目2019年1月まで+124+622人住宅(世帯も増えている)
武部町2020年4月まで+104+432.4人住宅(世帯も増えている)
森園町2024年9月まで+104+522人住宅(世帯も増えている)
松並2丁目2019年9月まで+99+342.9人住宅(世帯も増えている)
沖田町2022年6月まで+99+362.8人住宅(世帯も増えている)
木場1丁目2021年8月まで+98+403.4人住宅(世帯も増えている)
古賀島町2021年9月まで+97+1021.4人住宅(世帯も増えている)
東三城町2026年7月まで+95+571.7人住宅(世帯も増えている)
池田2丁目2022年7月まで+94+432.2人住宅(世帯も増えている)
木場2丁目2020年8月まで+92+322.9人住宅(世帯も増えている)
徳泉川内町2018年9月まで+91+422.2人住宅(世帯も増えている)
寿古町2020年8月まで+87+531.6人住宅(世帯も増えている)
皆同町2021年10月まで+82+332.5人住宅(世帯も増えている)
西本町2021年4月まで+81+322.3人住宅(世帯も増えている)
赤佐古町2018年2月まで+78+342.3人住宅(世帯も増えている)
竹松本町2019年8月まで+78+401.9人住宅(世帯も増えている)
協和町2025年1月まで+73+441.7人住宅(世帯も増えている)

※ を付けた行は、前年同月比の期間が2020年10月の国勢調査基準の切り替えをまたいでいます。切り替えでは市全体では30人しか動きませんが、 町丁単位では最大100人規模の付け替えが起きているため、その分を差し引いた値を出しています。 「読み取り」は世帯数の動きから機械的に付けた見立てで、何が建ったか・何の施設かは この資料からは分かりません。

階段の正体が分かった町

人口統計だけでは「住宅が建ったらしい」までしか言えません。実際に何が建ったかを 別の資料で当てられた町を挙げます。

植松3丁目

建ったもの
レ・ジェイド新大村 ステーションフロント(119戸)とパークサイド(72戸)の2棟・計191戸
所在
大村市植松3丁目160番8号 / 160番10号
時期
2024年10月
人口の増加
2024年11月〜2025年11月に +377人・世帯 +153(供給戸数あたり1.93人)
段差の月
2024年12月1日 675世帯・1,344人 → 2025年1月1日 792世帯・1,616人(世帯+117・人口+272)。段差は1か月に集中している。
確認できた記述
令和6年9月定例会(第4回)9月9日 大村市技監の答弁「2棟合わせて191戸のうち、現在約150戸が成約されております。そのうち成約者の約4割が市外の方」

新大村駅(2022年9月開業)は同じ植松3丁目にある。開業の月には人口は動かず、駅前に共同住宅が竣工した2024年秋から階段状に増えた。供給戸数191戸に対して増えた世帯は153で、完売は2025年9月。

段差のあった2025年1月、市全体は+112人しか増えていない。植松3丁目の+272人の大半は市内の他の町からの移動で、市の人口が増えたわけではない。市議会答弁も成約者の約4割が市外=約6割が市内としている。町丁の増加を市の増加と読み替えないこと。

新大村駅周辺土地区画整理事業の換地処分は令和8年2月6日公告、町名町界の変更は令和8年2月7日発効。2026年2月1,707人→3月1,734人に段差がないため、2024〜2025年の増加は町界変更による見かけ上のものではない。

出典: www.re-port.net / www.re-port.net / suumo.jp / ssp.kaigiroku.net

水主町1丁目

建ったもの
分譲マンション2棟(アルファスマート大村 63戸、同2 48戸・計111戸)
時期
2018年2月(63戸)と2019年6月(48戸)
人口の増加
2018年1月〜2019年9月に +216人・世帯 +103(供給戸数あたり1.95人)
段差の月
段差が2回に分かれている点が、1棟だけの町(植松3丁目)との違い。

2棟の竣工が別々の年に分かれており、世帯数の段差もそれぞれ別に現れる。2018年1月99世帯 → 2018年3月155世帯(+56。63戸に対して89%)、2019年6月159世帯 → 2019年9月202世帯(+43。48戸に対して90%)。供給111戸に対して世帯は+103で、増加率は102町丁で1位(+96.3%)。

出典: db.self-in.com

宮小路3丁目

建ったもの
九州電力社宅跡地 約4ha の民間宅地造成(分譲120戸)
時期
造成は2014〜2015年。住宅の建ち上がりが2018年にずれ込んだ形
人口の増加
2017年2月〜2018年2月に +165人・世帯 +52

平成27年9月定例会で「もと九州電力社宅用地、約4ha…民間開発により宅地造成された」として宮小路三丁目住宅団地1号線ほか11路線を市道認定。平成26年6月の答弁に「間もなくすれば、宮小路のほうに120戸の分譲地」。ただし「2018年に竣工した」と書ける資料は見つかっていない。

出典: ssp.kaigiroku.net

黒丸町

建ったもの
民間の個別宅地開発の連続(団地名・戸数は特定できず)
時期
2018〜2019年に集中
人口の増加
2018年7月〜2019年7月に +219人・世帯 +103

平成31年3月の答弁に「黒丸町が大変な開発ラッシュ、新興住宅地に変貌している状態」、令和元年6月に「黒丸地域には100宅ぐらいの造成が進んでいます」。町内会の世帯数は平成27年に旧黒丸70世帯+新住宅470世帯、令和4年に旧黒丸72世帯+600世帯。市サイト4,000ページを全文検索しても開発事業名は出てこない。

出典: ssp.kaigiroku.net

市全体の新設住宅戸数

町丁別の供給戸数は公表されていませんが、市全体の新設住宅戸数は取れます。供給の山は2018年度(計1,030戸・分譲265戸)・2021年度(875戸)・2024年度(834戸)。西九州新幹線の開業(2022年9月)の前後に供給の段は無い。 2017年度の貸家515戸と2018年度の分譲265戸という山は、 宮小路3丁目・富の原2丁目の2018年、黒丸町の2019年の段と時期が合います。 ただし町丁への帰属は確かめていません。

年度持家貸家分譲
2012年度60034316987
2013年度688346240101
2014年度62030623379
2015年度74435931372
2016年度844386299159
2017年度95835351590
2018年度1,030389376265
2019年度752371248132
2020年度709335221153
2021年度875415316144
2024年度834314382136
2025年度664269252141

国土交通省「建築統計年報」第44表 市区町村別 新設住宅の戸数(2012〜2021年度)/長崎県「住宅着工戸数」月報 市町別(2024年度〜)e-Statの住宅着工統計には市区町村別の表が無く(都道府県別まで)、市区町村別の戸数は国交省の年報と長崎県の月報にしかない。2022・2023年度は年報が休刊で、県の月報にも遡り分が無いため欠測。年度次。 都市計画マスタープラン第1章によると、新築着工件数は平成24〜令和2年で計5,770件(年600〜800件・住宅系5,039件=87%)。開発許可による宅地開発は平成6〜10年が最多で以後減少傾向。 市営住宅は80棟1,434戸で最新の建設は2014年度の本町アパート48戸。黒丸町・宮小路3丁目・富の原2丁目に市営住宅は無く、県営住宅も既存分のみ。公営住宅はどの町の増加の原因でもない。

分からなかったこと

富の原2丁目
アパート・宅地開発の集積とみられる(平成30年12月の答弁「今たくさんアパート建設等が進んでいる富の原、宮小路、黒丸地区」)。地区計画は平成19年12月決定で2018年ではない。単一の団地の竣工記録は見つからなかった。
開発許可の一覧
許可権者は長崎県(県央振興局建設部建築課)で、許可年月日・面積・区画数の一覧は市・県のいずれも公表していない。市の「土地開発協議」も手引きと様式のみ。件数統計が必要なら窓口への照会か情報公開請求しかない。
市街化区域
大村都市計画区域は非線引きで、市街化区域・市街化調整区域の区分が存在しない(都市計画区域マスタープランに「大村都市計画に区域区分を定めない」と明記)。開発許可の面積要件は3,000㎡以上。
黒丸町・宮小路3丁目・富の原2丁目
この3町に分譲マンションは1件も無く(市内の登録分譲マンション14件のいずれも該当せず)、戸建分譲地か賃貸共同住宅の集積とみられる。Webで確認できるのは10区画前後の小規模分譲地だけで、黒丸町の10年+956人を説明できない。決めるには開発許可の一覧が必要だが、許可権者は長崎県で開発登録簿は在庁閲覧のみ。市都市計画課または県央振興局への照会が次の一手。

次の一手: 不動産情報ライブラリAPI(reinfolib.mlit.go.jp)は町名×取引時期×種類で取引件数が取れる。町丁別に階段を検証できる唯一の公開データだが、無料のキー登録が必要で今回は取得していない。

施設の人口が混ざっている町

町丁の人口には、そこに住む世帯だけでなく施設にいる人も入ります。 性比と1世帯当たり人員が極端な町を機械的に洗い出すと、最新月では次の1件が該当します。増減率を読むときは、この町を 「住民が出入りした町」として扱えません。

  • 西乾馬場町西大村地区

    317人(男295・女22)/12世帯/ 1世帯26.42

    年齢: 20-24歳が最多(299人 / 全516人)

一方で富の原1丁目は、最新月のスナップショットでは普通の町に見えます。 上の表のとおり一時的に施設性の増加が起きて、その後戻しているためです。動き方で見ないと見つかりません。

この見立ての元になった数字は町丁別一覧に、出典と検算は出典とデータにあります。対象期間は2017年1月2026年8月です。